自動車保険の保険料は各種条件によって異なる
自動車保険(任意保険)の保険料は一律ではなく、各種条件を基準にして決定されます。したがって、誰もが同じ保険料で同じ補償を受けられるわけではありません。条件が違えば、保険料が高くなることもあれば安くなることもあります。
保険料の決定条件には、車種、型式、等級、免許の色、使用目的、使用地域、乗る人などがあり、これらを総合して保険料が決まります。
車種・型式
自動車の車種や型式によって、自動車保険の保険料は異なります。自動車の種類は、法律で定められた分類があり、車検証に記載があります。
個人利用を目的とした自動車の主な分類は以下の通りです。
- 自家用普通乗用
- 自家用小型乗用
- 自家用軽四輪乗用
- 自家用軽四輪貨物
- 自家用小型貨物
- 自家用普通貨物(0.5t以下)
- 自家用普通貨物(2t以下)
- 特種用途自動車(キャンビング車)
- 自家用二輪自動車
- 原動機付自転車
上記、自動車の種類だけでなく、料率クラスの違いも保険料に反映されます。
料率クラスは、損害保険料率算出機構が半年ごとに決めています。型式ごとに事故がどれくらい起こるのかや支払保険金などのデータを集計し、クラス分けをしています。
クラス分けは1~9段階です。リスクの分類は、対人、対物、傷害、車両の4つで、リスクごとに9段階にクラス分けがなされています。事故が多い型式ほど数字が高くなり、数字が高いほど保険料も高くなります。
等級
自動車事故を起こした人とこれまでに起こしたことがない人で、自動車保険の保険料は異なります。事故を起こして保険を使った人と事故を起こさず保険を使ったことがない人で同じ保険料が適用されるのは不公平ですからね。
保険を使った人と全く使っていない人で不公平が生じないように保険料に差をつける制度を等級別料率制度といいます。
等級は、1~20まであり、6等級が基準保険料です。
1年間、無事故だと等級が1つ上がります。そして、保険料の割引率も高くなります。事故を起こさず等級が上がっていくほど割引率が上がっていくので、安全運転をするドライバーほど、自動車保険の保険料が安くなります。
一方、事故を起こした場合は3等級下がります。事故件数が2件であれば6等級降格です。さらに適用される割増引率は、事故有係数が3年間適用され、事故がない場合よりも不利な料率で保険料が計算されます。
どれだけ事故を起こしても1等級より下がることはありません。しかし、事故件数が多いドライバーは、自動車保険に加入しようと思っても保険会社に断られる可能性があります。当たり前のことですが、事故を起こさないように安全運転を心掛けなければなりません。
等級が下がらない事故
自動車事故を起こすと3等級下がるのが基本ですが、保険を使っても等級が下がらず、翌年は1等級上がる場合があります。
人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害のみを利用する事故は等級が下がりません。また、弁護士費用特約、個人賠償特約、ファミリーバイク特約、代車費用特約のみを利用する場合も等級は下がりません。
1等級だけ下がる事故
以下の原因による車両事故の場合は、1等級だけ下がります。
- 火災、爆発、台風、竜巻、洪水、高潮
- 落書き、いたずら、窓ガラスの破損、盗難など
- 飛来中または落下中の他物との衝突
なお、適用される割増引率は事故有係数ですが、適用期間は1年間です。
リスク細分型自動車保険
自動車保険には、リスク細分型自動車保険と呼ばれるものがあり、細かい条件を加味して保険料が決定されます。
リスク細分型自動車保険では、免許証の色、使用目的、使用地域、走行距離といった条件の違いで保険料が異なります。
免許証の色
免許証の色には、ゴールド、ブルー、グリーンがあり、ゴールド免許だと最も保険料が安くなります。
免許証の色は、保険開始日時点の色を告知するので、保険契約期間の途中で色に変更があった場合でも保険料はそのままです。
使用目的
自動車は、使用目的によって事故の確率が変わってきますので、リスク細分型自動車保険では保険料決定の条件となります。
使用目的は、以下のように業務使用、通勤・通学使用、日常・レジャー使用に分類されます。
- 業務使用
年間を通して15日/月以上の利用がある - 通勤・通学使用
年間を通して15日/月以上の利用がある - 日常・レジャー使用
上記以外
保険料は、業務利用が最も高くなり、次いで通勤・通学使用が高く、日常・レジャー使用が最も安くなります。
また、保険会社によっては、通勤・通学使用がなく、業務使用か日常・レジャー使用かのどちらかで保険料が決定される場合もあります。
なお、黒ナンバーや緑ナンバーの事業用車両の自動車保険は、インターネットで見積りできるウェブサイトが少な目ですが、はたらくクルマの自動車保険であればネット上での見積りが可能です。
使用地域
使用地域を保険料の決定条件にしている保険会社もあります。
自動車を運転する地域で保険料に差をつけるのは理不尽に感じるかもしれません。しかし、都道府県ごとに事故の発生確率に違いがあることから、使用地域も保険料に反映した方がリスクに見合った保険料負担を実現できるというメリットがあります。
走行距離
年間の走行距離によっても、事故の発生確率は変わります。
走行距離が多いほど、自動車を運転する機会が多くなりますから、それだけ事故に遭う確率が高まります。
走行距離が少ない方は、走行距離を加味して保険料が決まる自動車保険が保険料を安く抑えられます。反対に走行距離が多い方だと、走行距離を加味しない自動車保険の方が有利になります。
誰が運転するかでも保険料は変わる
自動車保険の保険料は、誰が運転するかでも変わってきます。
年齢条件
多くの保険会社では、保険料の決定に年齢条件を加味しています。
年齢不問で補償、21歳以上補償、26歳以上補償、30歳以上補償、35歳以上補償などの区分が設けられています。年齢不問が最も保険料が高くなり、年齢が上がるほど保険料が安くなります。
ただし、高齢者の事故率が高いことから、ドライバーが高齢だと同一の年齢条件でも保険料が高くなる場合があります。
なお、年齢区分は保険会社によって異なります。
運転者を限定すると保険料が安くなる
自動車保険の保険料は、運転者を限定すれば安くできます。
運転者を限定しない場合よりも、本人と配偶者に限定した方が保険料は安くなります。さらに本人だけに補償を限定すると、保険料はもっと安くなります。
一人暮らしの方だと、友人や知人に運転してもらうようなことがなければ、本人限定で十分でしょう。
自動車保険に加入する場合、様々な条件をチェックしなければなりません。チェック項目は非常に多いですが、保険会社ごとに比較せずに自動車保険に加入すると、保険料が高くなることもあります。
少しでも保険料を節約するためには、複数の保険会社の自動車保険を比較することが大切です。