医療保険は掛け捨てだから貯蓄性はない
医療保険は、病気やケガで医療機関を受診した場合に保険金が支払われる保険です。また、医療機関を受診した場合でも、入院を伴う治療を受けなければ保険金をもらえないのが基本です。
したがって、健康な人は医療保険に加入していても、保険金を受け取ることはできません。そして、医療保険には貯蓄性がないので、10年、20年と長期間加入していても、資産が増えていくこともありません。
医療保険の保険料を回収するのは困難
医療保険は掛け捨てである以上、資産運用目的で加入してはいけません。
また、毎月支払う保険料を回収することも非常に難しいのが医療保険の特徴です。
例えば、入院日額5,000円が支払われる医療保険があり、毎月の保険料が2,000円だったとします。この医療保険の年間の掛け金は24,000円、40年加入した場合は合計96万円の保険料を支払うことになります。
40年間の保険料を回収するためには、192日間の入院が必要です。
- 960,000円÷入院日額5,000円=192日
そして、厚生労働省の平成26年の患者調査によると、平均在院日数は以下のようになっています。
- 傷病全体=31.9日
- 新生物(ガン)=18.7日
- 高血圧疾患=60.5日
- 心疾患=20.3日
- 脳血管疾患=89.5日
脳血管疾患の場合でも、入院日数は約90日なので、受け取ることができる保険金は約45万円です。また、入院保険金の支払限度は、保険商品によって60日型、120日型、240日型などがあります。仮に60日型の医療保険であれば、90日間入院しても60日分の保険金30万円しか受け取ることができません。
また、入院日数は年々短縮していく傾向にありますから、今後はさらに保険料の元を取るような入院は難しくなっていくでしょう。
医療費は貯金で賄える
多くの人の場合、医療保険に加入しても保険料を回収することは難しいです。そもそも、保険は掛け捨てなので元を取るという発想自体がずれているのですが。
万が一の病気やケガで入院した場合でも、高額療養費制度があることから、ほとんどの人は貯金で治療代を賄うことができます。そのため、医療保険に加入するメリットは、生命保険と比較すると、それほど高くはありません。
しかし、社会人になったばかりの方など、まだ十分な貯蓄ができていない場合には、医療保険に加入する意義は十分にあります。入社して間もない時期に入院しなければならなくなった場合、医療費を貯蓄だけで賄うのは大変です。
毎月2,000円ずつこつこつ貯金して万が一の医療費に備えれば良いと言っても、それは10年、20年と長期間積み立てる場合のことです。入社から2年後に入院するような病気や怪我をした場合、48,000円の貯蓄では厳しいですよね。
まだ医療費への備えが不十分な方は、十分な貯蓄ができるまでの期間、医療保険に加入しておくと安心です。
しかし、医療保険に加入する場合でも、終身にするのはおすすめできません。先ほども述べましたが、医療費は貯蓄で賄うことができますから、医療保険に加入する期間は、貯蓄ができるまでの期間で十分です。
したがって、医療保険の加入を検討する場合は、5年や10年など定期型の医療保険に絞ることをおすすめします。